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リーダーシップとはどういうものなのか?
リーダーシップという言葉は、会社組織内のプロジェクトではよく耳にする言葉ですね。
では具体的にどういうものなのでしょうか?
リーダーシップとは、
「指導者としての資質、能力、力量、統率力」のことです。
”何か1つのビジョンや目標を持ち、集団でそれを進めていく時にメンバーの全員がそこに向かって力を発揮することが出来るように導いていく力”のことです。
仕事やプロジェクトをうまく進められるようにメンバー全員をまとめていく統率力。
リーダーシップ論とリーダーシップ開発の権威であるイギリスの教授ジョン・アデアは、それまで古代ギリシャからの定説だった
「リーダーシップは生まれながらに持った先天性のもの」
という説をくつがえし、
「リーダーシップは訓練と経験によって後天的に誰もが身に付けられるもの」という画期的な説を提唱し、注目されました。
では、リーダーシップのスタイルにはどういう種類があるのかを見ていきましょう。
リーダーシップの種類
あなたはどのリーダータイプ?
リーダーシップのスタイルには、以下の6種類があります。
1.ビジョン型リーダーシップ
2.コーチ型リーダーシップ
3.関係重視型リーダーシップ
4.民主型リーダーシップ
5.ベースセッター型リーダーシップ
6.強制型リーダーシップ
タイプごとに1つずつ見ていきましょう。
1.ビジョン型リーダーシップとは?
①特徴
集団の中で共通する1つの目標を設定して、それに向かってメンバーの心を導いていく最も前向きなリーダーシップ。リーダーは夢や目標を共有してもそこに行き着くまでの方法は押し付けず、メンバー達の自主性にまかせます。
②良い点
組織への帰属意識、そこに所属しているという意識が高くなります。他のリーダーシップのスタイルと比べ、最も有効なリーダーシップのスタイルです。
③欠点
他のメンバーのほうが専門知識や経験で優れている場合には、どんなにリーダーが壮大なビジョンを説明しても大げさに聞こえ、もはや時代遅れになってしまいます。
また、リーダーが強圧的な程度を取るとチーム内の平等な精神が壊れてしまいます。
④必要とされる能力
自信・自己認識・共感・鼓舞や激励・情報を惜しみなく公開することが必要。
2.コーチ型リーダーシップとは?
①特徴
リーダーがメンバーと1対1の関係で対話することを重要視して、メンバー個々人の希望や目標を組織の目標に結びつけることで各メンバーのモチベーションを上げていくリーダーシップ。
モチベーションが高いメンバーにとっては効果的です。
②良い点
メンバーそれぞれが長所と短所を自覚するプロセスを手助けできます。それぞれのメンバーの自主性に基づいた人生や仕事の手助けを行なえます。
メンバーを励ましながら目標の達成に近づけます。
メンバー一人一人の夢やアイデンティティと仕事を結びつけて、モチベーションを維持します。
③欠点
メンバーを個人的に深く理解していないと発揮できないリーダーシップです。
モチベーションが低いメンバーには効果がありません。
リーダーの側に、メンバーを指導するだけの専門知識や思いやる力が備わっていなければ効果が発揮できません。
結果のみにこだわりすぎると効果がありません。
④必要とされる能力
カウンセリングマインド・メンバーの内面を察知する能力
3.関係重視型リーダーシップとは?
①特徴
業務のことよりも、各メンバーの感情を重要視しメンバーそれぞれを互いに結びつけてハーモニーを作ることで、目標達成をしやすいムードをつくるリーダーシップスタイル。
課題や目標達成よりもメンバーの感情面のニーズを重視します。
アジアの大半、ラテンアメリカ、ヨーロッパの一部では非常に重視されているリーダーシップスタイルです。
②良い点
組織内のモラルを高めたい場合や、組織内のメンバーのコミュニケーションを改善したい時には効果があります。また一度壊れた信頼関係を修復したい時は効果があります
③欠点
メンバーの気持ちばかりが重視されるので、目標や目的が後回しになりやすいです。
あまりに行過ぎると、改善や能力向上のためのフィードバックをすることに消極的になってしまいます。
他のリーダーシップスタイルと併用しないと効果がありません。
(例えば、ビジョン型との併用などです。)
相手を傷つけないように気を使うあまりに行動が犠牲になってしまいがちです。その結果、対立を避けるリーダーになってしまいます。
④必要とされる能力
協調性・友好関係・共感・紛争解決能力
4.民主型リーダーシップとは?
①特徴
リーダーがメンバーのより多くの意見を聞いて、その意見を次々に反映させていくスタイルです。
提案を歓迎し、参加を通じてコミットメントを得られます。
結果よりプロセスを大切にします。
結果を問わず、メンバー全員に前向きなインパクトを与えます。
メンバー全員に情報を開示します。
②良い点
リーダーが決断できない場合などに有効です。
アイデアを発掘するのには有効です。また実態の把握にも効果的です。
③欠点
知識や能力不足のメンバーからは何も得られません。
緊急時には対応できません。結論が出にくいです。
衝突が激化する可能性もあります。
④必要とされる能力
オープンマインド・協調性・紛争処理能力・影響力・チームワークを養う能力
5.ペースセッター型リーダーシップとは?
①特徴
難易度が高く、やりがいある目標の達成を目指す場合に用います。
メンバーの一人一人が動きやすいように具体的にどうすればいいのかリーダー自身がお手本を見せます。リーダーが高いレベルのパフォーマンスを目指してメンバーに手本を見せます。
リーダーシップの成果が華々しいリーダーシップスタイルです。
業績の向上と迅速化をリーダー自らとメンバーに求めます。
②良い点
リーダー個人の成果が高いです。
非常に優秀なメンバーがそろっている場合に効果があります。
ビジョン型、関係重視型と併用すると効果があります。
③欠点
リーダー自身が出来ることを当然のようにメンバーに求めてしまいます。信頼関係が築きにくいです。
リーダーのメンバーへの思いやりが欠如します。
成果を求めるあまりに、メンバーにプレッシャーをかければかけるほどメンバーの不安は大きくなります。
リーダーがなんでも一人でやってしまいがちになります。
④必要とされる能力
達成意欲・イニシアチブ・共感・感情のコントロール・協調性
6.強制型リーダーシップとは?
①特徴
リーダーの目標達成への意欲が強く、自分がどうしたらいいのかがはっきりしているリーダーが権力や圧力でメンバーに命令し組織を引っ張っていきます。
理由を説明せずともメンバーが命令に即座に従うことを要求して、リーダーが裁量権を一人で握ります。全ての状況を支配・監視しメンバーの落ち度を指摘し、決してメンバーを褒めないリーダーシップです。
このスタイルのリーダーシップが今だに世界的に驚くほど多く残っています。
②良い点
危機的状況を緊急に脱する時には効果があります。
問題の多いメンバーに対して、他のリーダーシップスタイルが通用しない時には効果を発揮することもあります。
③欠点
メンバーのモラル、自尊心、モチベーションを失います。
メンバーが組織への帰属意識や愛着を失います。
メンバーの不調和をつくります。
組織文化を悪化させ、組織の衰退と崩壊を招きます。
④必要とされる能力
影響力・達成意欲・イニシアチブ・自己管理能力(感情コントロール)・共感
以上、6つのリーダーシップの種類を見てきました。それでは、ここからさらに「リーダーシップに必要なものは何か?」を考えていきましょう。
リーダーシップをとるために必要なものは?
1.明確なビジョンを持っていること
組織の目標とゴール、そしてそれを達成するためのプロセス、まずはこれらを明確にして提示する能力が求められます。
目標の計画、現在の状況、未来のゴールをどこに置くのかを具体的にチームのメンバーに共有できるようにしなければなりません。それぞれの場面でメンバーのどれがどんな役割をするのかを具体的にイメージして、メンバーに示すようにします。
そうすれば、メンバーが自分の役割や必要性を理解できます。メンバー全員が「自分が必要とされている」と思えるビジョンを提示することが大切です。
2.コミュニケーション能力
ビジョンを提示したら、次にそれを伝えるためのコミュニケーション能力が必要になります。
コミュニケーション能力は、相手の立場に立って考えて言葉を意識して使い分ける能力です。簡単にいえば、様々な相手と上手に会話のキャッチボールができる能力です。
「なぜこの目標を目指すのか?」「この目標を達成することで得られるものが何か?」をメンバー全員にしっかり理解してもらえるように伝える必要があるからです。
重要なポイントは、メンバーの全員に伝える際と、一人一人個別に伝える際では、コミュニケーションの方法が違うことを意識することです。
ミーティングなどで全員に内容や目標を伝える際には、できるかぎり誰にでもわかるような簡単でわかりやすいと言葉を使って、短く簡潔にまとめて伝えることが大切です。
その上で、個別のコミュニケーションをとる際には、より細かく「なぜこの仕事にあなたが必要か?」を伝えます。
個別のコミュニケーションをとる際には感情的な熱意も大切ですが、論理的に「あなたの能力がこの役割に適正だ」とか
「この仕事をすることで、あなたは成長の可能性がある」などというように具体的な点をしっかり強調することが大切です。
3.自分の信念を持つこと
全メンバーに「このリーダーについていこう!」と思わせるためには、どんな時でもリーダーのポジショニングがブレないことが大切です。そのために最も重要なことは、リーダーの考えが一貫していて、全メンバーに対して誠実であることです。
個々のメンバーに性格の違いがあり、全員と合わせることは難しいですが、優れたリーダーになるためにはそうした違いを切り離して、全てのメンバーの仕事に対して公平に誠実に対処できなければなりません。
具体的にいうと、チームの和を重んじること、成果は自分の物ではなく、メンバー全員の物だと認識すること、驕らないこと、客観的に物事をとらえること、メンバーに対して公平で、中立的立場でいることです。
リーダーがいつもブレずに一貫性を保っていることが、チーム全体の協調性の向上にもつながっていきます。
4.決断力
例えば、チームが迷路の中で迷ってしまったとします。その時にリーダーはどうすべきでしょうか?
ゴールにたどり着くまでにチームは何度もこうした迷路の中に迷い込んでいくかもしれません。
このような時、リーダーは冷静に周囲を見渡し、高い木に登って周囲を360度見渡して進むべき方向がどっちなのか、その場ですばやく正しい決断を下さなければなりません。
5.行動力
チームのメンバー達がそれぞれの役割の中で積極的に行動できるようにするためにはリーダーがまず先頭に立って、自分がお手本となるよう行動をしなければなりません。行動することなしでは、何の成果も得られないことをリーダー自身が身をもってメンバーに示すためにも、具体的に行動を起こす力を持つことが重要です。
以上のようなリーダーシップのスタイルやリーダーに必要とされる能力を考えてきました。そこで、うかがいます。
あなたは、
自分に合ったリーダーを選びますか?それともなりたいリーダーを目指しますか?
リーダーシップとリーダーに必要な能力を知り、考えた上で、あなたはメンバーとして自分に合ったリーダーを選ぶ側になりたいですか?
それとも自分自身がなりたいリーダーを目指しますか?
まずは、あなた自身が自己分析をして自分はメンバーとしてリーダーについていくタイプなのか、それとも自分がリーダーになり、メンバーを引っ張っていくことを目指す側になるのかということを考えてみることが大切です。
まとめ
リーダーについてとその種類や必要とされる能力を知った上で、あなたはご自分のリーダーシップ能力をどのように自己評価しますか?どんなリーダーのタイプにあてはまりますか?
どうやらリーダーシップ能力は、生まれながらに持っているものではなく、訓練や経験で培っていくことが出来る能力のようです。
もし、あなたがリーダーシップを身に付けたいと思われたならば、リーダーになる前にリーダーシップに必要な能力を磨いておくことが必要ですね。
もしかしたら、あなた自身がどんなリーダーのタイプなのか?
まだ判定できていないかもしれませんね。
自分のことは意外とわからないものです。
そんなときはこちらのページで紹介している才能診断を活用してみてはいかがでしょうか?
あなたの中に眠っている隠れた才能を発見することで、どんなリーダーシップを発揮していけばいいかも明確になります。