「フロー状態」という言葉をご存知ですか?
元々は心理学で使われている用語ですが、今ではスポーツ・教育・ビジネスなど様々な領域で用いられています。
フロー状態に入ることで、パフォーマンスが上がるだけではなく、楽しさや充足感を味わうことも可能になります。
この記事では、
・フロー状態とは?
・フロー状態を構成する9つの要素
・フロー状態に入るための5つのポイント
の3つを解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
フロー状態とは?
フロー状態とは、「その時取り組んでいることに完全に没頭し、集中している心理的状態」のことを言います。
・ゾーン
・ピークエクスペリエンス
・無我の境地
・忘我状態
などと呼ばれることもあります。
フロー状態は、ハンガリー出身の心理学者・チクセントミハイによって提唱されました。
現在では、スポーツ・ビジネス・教育など様々な領域において使われる用語となっています。
フロー状態を構成する9つの要素
フロー状態を構成する要素には様々なものがあると言われています。
どのような要素がフロー状態を構成しているのかが分かれば、フロー状態を作り出すための方法が分かってきますよね。
ここでは、
・極度に集中している
・自意識が低下する
・時間感覚が歪む
・取り組みが苦にならない
・目標が明確になっている
・状況を自分がコントロールできる感覚がある
・成功する可能性があると信じられている
・すぐに直接的なフィードバックが返ってくる
・スキルとチャレンジのバランスが取れている
という9つの要素を解説します。
【1】極度に集中している
フロー状態にある人は、取り組んでいる物事に対して極度に集中しています。
普段、私たちは様々なことに意識を分散させています。
例えば、仕事をしながらも、「夕飯はどうしよう」「そういえばあの案件はどうなったっけ」などと気が散っていることはありますよね。
フロー状態の時は、こうした意識の分散がなくなり、目の前のことに完全に集中しています。
【2】自意識が低下する
フロー状態に入ると自意識が低下します。
例えば、
・テニスでボールを追いかけるのに完全に集中していて、自分のことが気にならなくなる
・トイレに行くのも忘れるくらいにゲームにのめり込んでしまう
といった経験においては、極度の集中によって自分についての意識が低下しています。
まさしく「無我」夢中という状態ですね。
【3】時間感覚が歪む
映画や仕事などに没頭していると、あっという間に時間が経ってしまうことがないでしょうか?
フロー状態に入ると、
・フロー状態に入っている最中は時間が引き延ばされているように感じる
・フロー状態から出ると、少ししか時間が経っていないように感じる
というように、主観的な時間感覚の歪みを経験します。
【4】取り組みが苦にならない
フロー状態に入っている時は、取り組みが苦にならないと感じています。
嫌々ながら仕方なく取り組んでいる仕事だと、すぐに気が散ってしまったり、パフォーマンスが上がらなかったりすることがありますよね。
反対に、自分が得意なタスクだったり、大好きな趣味だったりすると、取り組むことが苦にならないどころか、取り組むことそのものが喜びに感じるのではないでしょうか。
そして、取り組むことそのものが喜びに感じることであれば、自然と没頭しますよね。
【5】目標が明確になっている
目標が明確に定まっていないと、人はなかなか集中することができません。
逆に、目標が明確に定まっているからこそ、人はしっかりと集中して取り組むことができます。
目標が明確になっていることは、フロー状態を引き起こすための大切な要素です。
【6】状況を自分がコントロールできる感覚がある
フロー状態に入っている時は、状況を自分がコントロールできる感覚があります。
これは逆の例から考えてみると分かりやすいです。
例えば、ゲームがあまりにも難しすぎて歯が立たないと、私たちは諦めて投げ出してしまいたくなります。
状況を自分ではコントロールできないとなると、私たちは集中を失いがちです。
逆に、自分の頑張り次第で結果が変わる(=状況を自分がコントロールできる)となると、私たちは自然と没頭できます。
【7】成功する可能性があると信じられている
成功する可能性が絶対にないと思っていることに対して、あなたは没頭できるでしょうか?
おそらく、ほとんどの人は無理でしょう。
自分の頑張りによって少しでも成功する可能性があると信じているからこそ、人は集中して取り組むことができます。
フロー状態に入る上では、成功する可能性があると信じられていることが必要です。
【8】すぐに直接的なフィードバックが返ってくる
すぐに直接的なフィードバックが返ってくることは、フロー状態を構成する要素であると言われています。
例えば、ゲームにのめり込んでいる時は、
・「こうすると勝つ」「こうすると負ける」というように勝ち負けが明確
・ゲームの勝ち負けがすぐに分かる
というように、行動に対してすぐに直接的なフィードバックが返ってきます。
逆に、
・どこをどうしたら勝てるのかがちっとも分からない
・自分が上達しているのかどうかすら分からない
・勝ち負けが分かるまでものすごく時間がかかる
となると、ゲームにのめり込む前に挫折してしまいますよね。
このように、フロー状態に入る上では、すぐに直接的なフィードバックが返ってくることが重要です。
【9】スキルとチャレンジのバランスが取れている
フロー状態に入る時には、スキルとチャレンジのバランスが取れていることが必要です。
自分のスキルに対してチャレンジが難しすぎると、「うまくできるだろうか?」「こんなことできるわけがない」という不安が出てきて、フロー状態に入る妨げとなります。
反対に、自分のスキルに対してチャレンジが簡単すぎると、今度は退屈すぎて没頭するまでには至りません。
フロー状態に入るためには、スキルとチャレンジのバランスが適度に取れていることが大切です。
フロー状態に入るための5つのポイント
ここまで、フロー状態を構成する要素を見てきました。
これらの要素を踏まえて、フロー状態に入るためのポイントを見ていきましょう。
ここでは、
・集中できる環境を作る
・目標を明確にしておく
・適切な難易度のチャレンジをする
・楽しめる部分を探す
・フィードバックを取る
の5つの解説したいと思います。
【1】集中できる環境を作る
フロー状態に入るためには、集中できる環境を作ることが大切です。
・携帯を遠ざけておく
・通知をオフにする
・「この日は急な予定に対応できません」と前もって周囲に知らせておく
・耳栓をしたり、自分が没入できる音楽をかけたりする
・気になるタスクは事前に終わらせておく
・気になることは紙に書き出しておいて、積極的に頭を空っぽにする
・会議室を借りて1人になる(他人といた方が集中できるなら、誰かと一緒に作業する)
など、集中を乱す要素をできる限り排除しましょう。
また、タイマーを使って「このX分間だけは全力で集中する」というようにするのも効果的です。
【2】目標を明確にしておく
フロー状態に入る上では、目標を明確にしておくことが必要です。
・今日の17時までにこのタスクを終わらせる
・月末までにアポを3件取る
というように、明確なゴールを作っておくことでフロー状態に入りやすくなります。
【3】適切な難易度のチャレンジをする
フロー状態に入る上では、適切な難易度のチャレンジをすることが重要です。
チャレンジが難しすぎると挫折してしまいますし、簡単すぎると退屈になってしまいます。
自分にとって簡単すぎでも難しすぎでもない、ほどよい難易度のチャレンジになるように調整しましょう。
特に、チャレンジの難易度があまりに高すぎると、「こんなの絶対に無理だ」と思ってやる気を失ってしまいがちです。
少し背伸びすれば達成できる、という現実的な目標を立てることが大切です。
【4】楽しめる部分を探す
楽しいと思えることをすることは、フロー状態に入るための大きな助けとなります。
自分が好きなことや得意なことであれば、楽しくてつい没入してしまい、自然とフロー状態に入ることができます。
可能であれば、自分がやっていて楽しいことや好きなことに取り組めるのがベストです。
好きではないことや得意ではないことをしなければならない場合でも、「これのどこは楽しめるだろうか?」と考えてみましょう。
・タイムアタックで素早く作業するのは楽しい
・ゲーム性を持たせて攻略するのは楽しい
・誰もやっていないアイディアを盛り込むのは楽しい
というように、少しでも楽しめる要素を見出して、そこにフォーカスしてみましょう。
【5】フィードバックを取る
フロー状態に入る上では、
・うまくいっているのかどうかが分かる
・どこを改善したらうまくいくのかが分かる
といった要素が助けになります。
そのため、フィードバックをしっかりと取っていくのが有効です。
・ゴールに近づいているかどうかを数値で確認する
・自分が上達しているかどうかを他人にチェックしてもらう
・どこを改善したらいいのかを先生にコメントしてもらう
など、自分の取り組みに対する率直なフィードバックをこまめに取っていくようにしましょう。
まとめ
この記事では、
・フロー状態とは?
・フロー状態を構成する9つの要素
・フロー状態に入るための5つのポイント
を解説してきました。
フロー状態に入ることで、パフォーマンスが上がるだけではなく、楽しく物事に取り組むことができます。
フロー状態に入るためのポイントを意識して、ぜひフロー状態を意図的に作り出してみましょう。