目次
キャッシュフロー経営とは?
近年の社会情勢の変化などを踏まえて
キャッシュフロー経営の重要性が注目されるようになってきました。
このキャッシュフロー経営とはどのような意味が有りなぜ注目されるようになったのでしょうか。
キャッシュフロー経営とは経営の観点において現金の動き、
キャッシュフローに特に重きを置いて進めていくことを指しています。
なぜこのような観点に重きを置く必要があるかといえば、
経営を進めていくにあたり利益を出すことはもちろん重要ですが、
利益を出すためには投資に利用するための現金が必要だからです。
どこまで投資に利用するかといったことは経営の方針によって
異なったものとなってしまいますが、経営として大切になってくることは
資本金や預金を含めた会社としての資金をなるべく多く残す、
増やすということであると言い換えることが可能です。
投資に必要なキャッシュフローを把握することが出来れば、
その事業がどの程度儲かるのか損をするのかを具体的な数字で見ることが可能となります。
投資を進めていく中でキャッシュフローに注目すればこのまま投資したら取り返せるのか、
損切りをするべきなのかが見えてきます。
事業の評価をするにあたりキャッシュフローを利用すれば客観的な判断がしやすくなります。
このような具体的に見えるということが
キャッシュフロー経営の意味であり今後も注目されていく理由です。
4つのキャッシュフロー
営業キャッシュフロー
企業の業績を判断する基本的な指標はこの営業キャッシュフローです。
営業キャッシュフローは企業のメインとなる事業としての収支が
プラスなのかマイナスなのかを評価する基準です。
営業キャッシュフローがプラスであるということは企業が本業にて
キャッシュを増やすことに成功しているということを指しています。
逆にこの営業キャッシュフローがマイナスであれば本業での稼ぎが無い
ということを指しています。
一般的には営業キャッシュフローの評価は上記のようになっており、
プラスが大きければ大きいほど同業他社に比べるとキャッシュを生み出す力に優れていると
考えることが出来ます。
営業キャッシュフローをプラスにする方法は多々ありますが、
売り上げを増やすということはもちろんのこと
コスト削減などの企業努力によってプラスとなっている可能性もあります。
マイナスに関しては本業での稼ぎが無いことを指していますが、
先ほどの説明に則ると投資がかさんでしまうと
どうしてもマイナスになりやすいというのも事実です。
人件費などをかけて商品を開発するような業界であればマイナスとなることもありますので
マイナスだから悪いと一概に断言はできません。
投資キャッシュフロー
投資活動はどこに投資するのかということが非常に重要となります。
投資先としては社内に投資するのか社外に投資するのかの2種類に大きく分けることが可能です。
基本的には事業拡大のために社内に何かしらの投資をする
ということが求められていると考えられますが、
会社が安定してくると新規事業に投資するべきかキャッシュを増やすために
社外に投資するべきかの判断を迫られることになります。
特に同業他社に比べて社内への投資が大きくなると新しい事業を展開したり、
全く異なった事業を展開したりすることを検討していると評価されるようになってきます。
これから成長が期待できるような企業であれば
社内への投資は十分に評価されるものとなりますし、
会社として成長していくためには社内への投資が必要となりますので
どの程度の割合を投資に利用するかは会社の経営方針として重要な鍵を握ります。
財務キャッシュフロー
財務キャッシュフローは
どのようにして事業活動を進めていくための資金を集めているのかを判断する指標
となっています。
財務キャッシュフローがプラスである場合は外部から資金の調達が多くなっている
ということを指しています。
一般的には銀行からの借り入れが多くなっていたり
株を発行するなどして資金を調達している状況でしょう。
この状況となっていると会社として投資などに利用する資金が不足していると予想されます。
会社が設立されて数年の間は資金繰りのために借り入れが必要となるでしょうし、
新規事業のために外部から借り入れをした場合もここが増加します。
事業が安定して銀行の借り入れなどを減らしていくと
この財務キャッシュフローはマイナスになっていきます。
プラスのほうが良いような印象を持つかもしれませんが、
借り入れをしなければ事業が進められないような状態が続くと倒産の危機ともなりかねないですし
経営者としてはこのキャッシュフローに頼った経営は出来ないものと思わなければなりません。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローは会社において重要な鍵を握るものです。
算出方法としては営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計することによって
求めることが出来ます。
フリーキャッシュフローは簡単に説明すると営業で得たキャッシュから営業のために
必要となるキャッシュを差し引いたものです。
この差分がフリーキャッシュフローとなり、その名の通り自由に使えるものですので
金額が大きければ大きいほど良いものとなっています。
会社の経営をしていく上フリーキャッシュフローが無ければ
借り入れなどを検討する必要がありますし、
逆にフリーキャッシュフローが十分にあれば借り入れによって
始めた事業でも返済を進めていけることになります。
キャッシュフロー経営の7つのポイント
手元キャッシュを確認する
赤字であれば会社がつぶれると思われがちですが、
極論を言えば無限に資金があれば倒産はしないのです。
支払いなどの資金繰りに行き詰るから倒産するのであり、
行き詰らなければ極論では問題はありません。
この資金繰りの鍵を握るのがどの程度手元にキャッシュを残せているかということです。
キャッシュが残っていれば事業に必要な支払いを続けることは出来ますし
社会的な信用を失うといったことはありません。
逆にどんなに帳簿上では利益が出ていても支払いに必要なキャッシュが不足していると
支払いに行き詰ることになります。
これが俗に言われる黒字倒産です。
企業の資金のやり取りは個人での売買のようにすぐに出入金が発生しません。
そのため手元にキャッシュが残っていなければ先に発生する支出に耐えられませんので
ここを一番注目しておく必要があります。
固定費を見直す
固定費は会社のキャッシュを見直すときに特に注目したい部分です。
家賃などのどうしても変わらない部分もありますし、
従業員の人件費に関しても売上に関わらず人数が変わらない限り変動のほぼ無い固定費です。
固定費の見直しについてはいくつかの視点があると思います。
毎月定期的に支払う家賃、インターネットや従業員用の携帯電話といった通信費などは
場合によっては軽減することが出来るでしょう。
特に通信費が昔ながら企業では固定費として大きくのしかかっていることもあります。
現在の状況に合わせたプランに変更するなどして削減できる部分は削減していきましょう。
また人件費についても可能であれば変動費に変更することも大切です。
社内で従業員を抱えてしまうとどうしても固定費が必要となります。
外部に出せることは委託する、社内でもスポット的な人手不足であるなら
派遣会社にお願いするなど変動費として扱えるキャッシュに切り替えていくことで
固定費を見直してみましょう。
キャッシュを生み出す
キャッシュを生み出すためには事業をしっかりと成功させていくことが大切です。
商品を仕入れて付加価値を付けるような事業であれば
適切に仕入れて適切に販売し続けることでキャッシュが手に入りますし、
サービスを提供するような場合は継続して顧客と関係を築くことでキャッシュを得ます。
またキャッシュを生み出すためには投資を必要とすることもあります。
一時的にフリーキャッシュは減ってしまいますが、
短期間で投資することによってさらに大きなキャッシュを生み出すような場合もあります。
状況把握を正しく進めることと顧客から安心と信頼感を得ることによって
事業によるキャッシュは生み出されていくのです。
キャッシュを減らさない
これは固定費の見直しにも繋がる部分ですが
フリーキャッシュを増やすためにはキャッシュを減らさないことも大切です。
無駄な経費の削減などがこのキャッシュを減らさないための対策としては
代表的なものだと考えられます。
人件費は投資との兼ね合いもありますのですぐに対策できないかもしれませんが、
経費としては福利厚生費や交際費の削減でキャッシュの減少を抑えることが出来るでしょう。
また最近のエコブームにもあるように書類のデジタル化によって
OA費も抑えることが出来るようになるはずです。
今までは比較的こういった経費については大雑把にしか捉えられていないこともありましたが、
キャッシュフロー経営をするのであれば
具体的な数値でどの程度出費を削減できるのかを把握することになります。
キャッシュが入るのを早くする
手元になるべくキャッシュを残すためにはキャッシュを早く手に入れる必要があります。
ただ会社間の取引ですので一方的な支払い期限を設定しても
亀裂が生まれる原因となりかねません。
会社間の取引の部分は
お互いになるべく早くキャッシュが動くように調節することになるでしょう。
ただ、会社間といえども商品販売などで決算代行業者を利用している場合は
見直しでキャッシュの入りが早くなるかもしれません。
最近は決算代行業者も多く存在していますので
よりキャッシュの入が早いものに変更するのも手段です。
キャッシュが出るのを遅くする
ここも会社間の取引が大半ですので支払い期限については調節が必要となるでしょう。
経費などのキャッシュの出を遅くするのに有用な手立てとして考えられているのは
法人カードの活用です。
経費などのすぐに現金が必要なものでもなるべくクレジットカードで決算することによって
支払いを1-2ヶ月先とすることが出来ます。
これによって手元にはなるべく多くのお金を残せますので
キャッシュフローを先を見据えて計画することが出来ます。
会社の価値を高める
なによりも事業を成功させるためには会社の価値を高めることが大切です。
会社の価値が高まれば外部からの評価も高まりますし、
それを給与面などに反映させれば社員のモチベーション向上にも繋がります。
こういった会社の価値を高めることが間接的ではあるかもしれませんが
キャッシュを増やすことにも繋がります。
まとめ
キャッシュフロー経営において大切なことはキャッシュを具体的な数値で見ることです。
事業を推進しても利益を出すことが出来るのかどうか、
利益が出るのであればどの程度の利益が出るのかを判断することで
より正しい経営判断が出来ると考えるのがキャッシュフロー経営です。
帳簿をベースとして経営では途中で述べたように
黒字倒産ということが発生する可能性もありますが、
キャッシュフロー経営でフリーキャッシュフローに注目していれば事前に気づくことも出来ます。
今までの経営手法では見つけられなかった問題を数値面から早期に発見してくれるのが
キャッシュフロー経営の魅力でもあります。