目次
リーダーとリーダーシップ
リーダーとは、特定の地位、立場、役職、役割、ポジション、肩書きなど、
組織から任命されたり、与えられたりするものです。
場合によっては立候補することもできますが、基本的には、
組織から指名される以外にリーダーになる方法はありません。
リーダーシップとは、下記の能力を発揮したり、行動を起こしたりすることです。
- 統率力や判断力を発揮する
- チームの状況に影響をあたえる行動や発言をする
- チームを目標まで導く
- 場の雰囲気を変える
- チームのメンバーから期待され、承認されている
- 軸がしっかりとしていてぶれない
- チームの強みを引き出せる
リーダーシップを発揮するには、リーダーである必要はありません。
リーダーの肩書きをもっていなくても、自然と人がついてきたり、
場を仕切ったりする人がいるのはそのためです。
また、リーダーの立場でありながらリーダーシップを発揮できない人もいます。
リーダーシップ研究のはじまり
リーダーシップは、人類が集団生活をおくりはじめて以来の課題です。
どのように食料を確保するのか、争いを無くすのか、後継者を育てるのか、
などということは、いつの時代も人々を悩ませてきたのです。
リーダーシップのあり方については、
紀元前のギリシャ哲学や中国古典でも説かれています。
孔子の『論語』などは、多くの経営者やリーダーに影響を与え、
現在でも経営や考え方に取り入れられています。
現代のリーダーシップ論とは
現代のリーダーシップ論の研究は、米国を中心に1900年代からはじまります。
特性理論
特性理論とは、リーダーの性格や個性などに着目した理論です。
優れたリーダーに共通する特性(向上心、指導力、自信など)を分析しましたが、
特性はそれぞれ異なっており、研究は行き詰まります。
リーダーシップは生まれながらの特性だけでは決まらない、という結論に至ります。
行動理論
行動理論とは、リーダーがとる行動に着目した理論です。
多くの理論は、「生産性やタスクなどの課題を重視する行動」と
「人間関係を重視する行動」の2つの行動から構成されます。
どちらの行動が得意か不得意かを意識し、強みを活かし、弱みを改善します。
条件適合型理論
条件適合型理論とは、
「リーダーを取り巻く環境(チームのメンバー、ビジネスの状況など)によって
リーダーシップのスタイルを変化させるべきである」という理論です。
たとえば、新入社員には細かく指示を出す、中堅社員には必要なときに支援をおこなったり、
意思決定に参加させたりする、ベテラン社員には目標の設定だけを行い、
それぞれの主体性に任せる、などです。
コンセプト理論
コンセプト理論は、条件適合型理論をベースにした理論です。
ビジネス環境、組織、チームの状況に応じて、リーダーシップの取り方はパターン化されます。
それを具体的なスタイルとして落とし込んだものです。
リーダーシップのスタイルは、どれかが優れているというものではなく、
状況に応じて使い分けることがポイントになります。
6つのリーダーシップスタイル
アメリカのリーダーシップ論の第一人者であるダニエル・ゴールマンは、
リーダーシップのスタイルを次の6つに分けています。
- ビジョン型リーダーシップ
- コーチングリーダーシップ
- 調整リーダーシップ
- 仲良しリーダーシップ
- 実力リーダーシップ
- 指示命令リーダーシップ
リーダーシップを発揮するときには、このなかの1つ、
もしくはいくつかのスタイルを使い分けています。
6つのスタイルはどれが優れていて、どれが優れていないというものではありません。
それぞれに長所と短所があります。
大切なのは、自分が無意識にどのスタイルをとっているのかを知ることと、
どのスタイルにも長所と短所があると認識することです。
スタイル別リーダーシップの長所と短所
ビジョン型リーダーシップ
- 改革が必要なとき、組織が急成長しているとき、部下が方向性を理解していないときに有効
- 中長期的な目標やビジョンを語ることで、チームや部下を巻き込む
- リーダー自身の魅力で、チームや部下をひっぱっていく
- いまなにをするべきかがわかるので、チームや部下は迷いなく仕事に取り組める
- 信念や価値観がしっかりとしているため、ぶれない
- チームや部下から理想論だと不満が出ることがある
コーチングリーダーシップ
- 長期的にチームや部下の能力を伸ばし、パフォーマンスを向上させたいときに有効
- 自分のやり方や考え方を押し付けず、部下の価値観や主体性を尊重してサポートする
- チームや部下の長所と短所を把握し、強みを活かせる役割を与える
- 問いかけやフィードバックを行いながら、部下の成長を促す
- チームや部下はのびのびと自分の強みを発揮できる
- 部下の成長を重視するため、目の前の目標や課題が達成されにくい
調整リーダーシップ
- チームに亀裂があるとき、結束を強めたいとき、ストレスのかかる状況下にあるとき、
他のチームと助け合う必要があるとき、対立する部下を団結させたいときに有効 - 意思決定のプロセスに部下を参加させ、合意のもとに仕事を進めていく
- だれもがWIN-WINの関係を目指す
- 全員の合意を取り付けるため、決めたことは確実に実行される
- 意思決定のスピードが遅くなりがち
- 意見を聞きながら調整をくりかえすため、改善はできても改革はむずかしい
- 仲良しリーダーシップ
- 部下が有能で専門的な知識や情報をもっているとき、部下の自律性が高いとき、
部下の自律性を促したいとき、部下が自分より年上のとき - 部下と同じ目線に立ち、いっしょにやっていく姿勢を見せることで、信頼を得る
- 自分の弱みを認めることで、チームはリーダーを支えようという意識がはたらく
- チームワークがよく、たのしい職場になる
- 目標や成果より部下との人間関係を重視するため、改革は起こりにくい
- ただの仲良しグループになる可能性がある
実力リーダーシップ
- 自分の能力や技能が部下より高く、それを部下も認めているときに有効
- 能力がチームや部下に認められているときは、部下の信頼が厚い
- チームや部下に細かな指示はせず、自分が主となり仕事を進めていく
- 部下が能力を認めていなかったり、下に見られたりすると機能しない
- ひとりよがり、視野が狭い、勘違いの可能性がある
- 部下が戦力になるまでに時間がかかる
指示命令リーダーシップ
- 単純な作業をするとき、まちがいが許されない業務のとき、
緊急時で部下に詳しく説明する時間がないときに有効 - チームに規律やルールを徹底し、指示命令をおこなう
- 業務の効率がよく、短期間で成果を出すことができる
- 細かく指示されるため、チームや部下はモチベーションの維持がむずかしい
- 部下は自分で考える能力が育たない
- 離職率が高い
まとめ
6つのリーダーシップのスタイルのうち、
実際におこなっているスタイルと理想のスタイルにはギャップがあるのではないでしょうか。
同じようにチームや部下が支持するリーダーシップのスタイルもそれぞれ異なります。
つまり、リーダーシップのスタイルには正解はない。のです
大切なのは、チームの力を最大限に発揮させることです。
そのためにチームのメンバーや状況に応じて
どのリーダーシップのスタイルが効果的なのかを判断し、使い分けていきます。
リーダーシップは、頭で理解しただけでは身につきません。
実践していく中で成功と失敗をくりかえして学んでいくものです。
あたらしいリーダーシップのスタイルを手に入れたいのであれば、実際に試してみましょう。
もし、普段のチームで実践するのが気恥ずかしい場合には、
研修の場やプライベートからはじめてみてはいかがでしょうか。
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