ブランディング成功の手法・大切な2つことと成功させるための3つのポイント
目次
ブランディングとは?
近年、「ブランディング」が話題となっています。
ブランディング(branding)とは、「ブランド」が持つ価値を意味付け、
共感や信頼を高める戦略をいいます。
多くの人は「ブランド」と聞くと高級品をイメージしてしまいますが、
ブランディングは高級品だけではなく、
人物、企業、商品からサービスまで、あらゆるものが対象となります。
ブランディングの定義
今では、同じような商品は数多くあります。
その数多くある商品から自社の商品を購入してもらうには、
商品の価値をユーザーに知ってもらわなければなりません。
言い換えると、商品の価値を知ったユーザーは、
数多くある商品から迷わず自社の商品を購入してくれるようになります。
その、商品に価値を意味づけることが「ブランディングをする」ということです。
つまり、ユーザーに対して商品にあるブランドの価値を認識してもらう戦略です。
たとえば、高級ブランドであるルイ・ヴィトンは、「持っていることがステータス」
といったブランドのイメージがあります。
そのため、多くのカバンから「ステータス」という価値を求める人は
迷わずルイ・ヴィトンを購入します。
つまり、ブランドのファンになってもらうことがブランディングの意図することとも言えます。
マーケティングとブランディングの違いとは?
ブランディングはマーケティング戦略のひとつとして位置付けられます。
しかし、マーケティングとブランディングでは手法は大きく違います。
「マーケティング」は、市場において商品の認知度を向上させ、商品などを販売する戦略です。
そして「ブランディング」は、人に価値を認知させるための戦略です。
先のルイ・ヴィトンでいえば、「これがルイ・ヴィトンです」と伝えることがマーケティングで、
ルイ・ヴィトンを見ただけで「これがルイ・ヴィトンだ」
とユーザーが認識することがブランディングです。
ブランディングと差別化の違いとは?
差別化とは、「他との違いを明確にする」ことです。
例えば、カバンだと、他のカバンより収納のポケットの数が多いとか、
色のバリエーションが豊富、安いなどの違いを明確にします。
ユーザーは他のメーカーの商品と違う機能やデザイン、価格に惹かれて購入します。
それが差別化です。
しかし、ルイ・ヴィトンは他のカバンよりポケットの数は少ないかもしれません。
色のバリエーションも限られれています。しかも、決して安くはありません。
それでも、ユーザーがルイ・ヴィトンを購入するのは、先に書いた通り、
ルイ・ヴィトンにある「持っていることがステータス」
といったブランドイメージを購入しているのです。
機能やデザイン、価格を差別化しているから選ばれるのではなく、「この商品だから」
という価値でユーザーが選ぶように仕向けることがブランディングです
なぜブランディングが必要なのか?
では、なぜ、近年、「ブランディング」が話題となっているのでしようか?
先にあげた通り、今では同じような商品は数多くあり、
その数多くある商品から自社の商品を購入してもらうには、
商品の価値をユーザーに理解してもらわなければならないからです。
つまり、マーケティングで認知度を向上させたり、差別化して商品を購入してもらうのではなく、
商品が持つブランドの価値で購入してもらう方が効果的なのです。
ブランディングのメリット
ブランディングすることで、ユーザーは迷わず自社の商品を購入してくれようになります。
また、商品のファンになった人は同じブランドの他の商品も購入してくれるようになります。
また、友人などに商品を勧めることもあります。
例えば、無印良品のファンはムジラーと呼ばれ、
家庭に置く雑貨は総て無印良品の商品で揃えようとします。
そのため、無印良品というブランドだけでさまざまな商品が売れて行くようになります。
ブランディング作りで大切なこと
商品にブランディングをする上で大切なことは、
「ブランディングと差別化は違う」と書いた通り、
商品のメリットだけをアピールしてもブランディングとしては不完全だと言うことです。
ユーザーが他のメーカーの商品と違う機能やデザイン、価格に惹かれて購入したとしても、
また他のメーカーがもっと高機能や、優れたデザイン、低価格の商品を販売するようになると、
ユーザーはあっさりとその他のメーカーの商品に乗り換えてしまいます。
コンセプトの明確化
「ブランド」が持つ価値を意味付け、
共感や信頼を高めるためにはコンセプトを明確化させなければなりません。
いつも人でにぎわっているスターバックスコーヒーのコンセプトは
「”Third Place”(家庭でもなく職場でもない第3の空間)」です。
つまり、コーヒーを販売しているのではなく、第3の空間をユーザーに提供しているのです。
コーヒーなどの商品が美味しいことはもちろんのこと、
居心地のいい空間というコンセプトに人は価値を見出し、共感し、信頼して
ファンとなっています。
また、マクドナルドは2016年、香港に新しいコンセプトストア
「McDonald’s NEXT Concept Store/マクドナルド ネクスト コンセプトストア」
をオープンさせました。
これは、自分だけのオリジナルのバーガーやサラダがオーダーできる次世代型のショップです。
それに、ソフトバンクのパーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」にも
「人によりそうロボット」というコンセプトがあります。
コンセプトを明確にし、まず、ファンになってもらう、
というのがブランディング戦略の基本です。
市場の環境を考える
ブランディングでは市場を抜きにして考えることはできません。市場には3つの環境があります。
- 既存にある中から独自性を築く環境
スターバックスコーヒーは、既存で数多くコーヒーショップがあるなか、他とは違う
「”Third Place”(家庭でもなく職場でもない第3の空間)」
という独自性のあるコンセプトを作り、ブランディングに成功しています。
- 今後、伸びて行く環境
マクドナルドの「McDonald’s NEXT Concept Store」は、
今後、個食の時代となり、食にこだわりをもった人が増えるという市場の未来を見据え、
いち早く価値を創出することで、ブランディングしようとしています。
- 世の中に存在していない環境
「Pepper(ペッパー)」は、今の世の中にはない価値観の商品を作ることで
ブランディングを展開していきます。
3つのどのような市場環境でどのようなブランディングを創出するかか重要となります。
成功のブランディング手法とは?
「価値」はどのように意味付けすればよいのでしょうか?
価値には「機能的価値」「感情的価値」「自己表現としての価値」の3つがあります。
機能的価値
機能的価値とは、その名の通り、その商品が持つ機能です。
スマートフォンではLINEができる、ゲームができる、写真が撮れるなどの機能があります。
iPhoneでは、高画質の写真が撮れるという機能をアピールしたブランディングを行っています。
そのため「気軽に綺麗な写真を撮りたい」というユーザーはiPhoneを選ぶ傾向があります。
また、AndroidではGoogleのアプリケーションが使えるということで、
ビジネスユースに響くブランディングを行っています。
感情的価値
感情的価値とは、
ユーザーの感情に訴え、「ファンになる」ことを促進させるブランディングです。
iPhoneは機能よりもむしろ、
そこにはアップル社の製品であるというブランディングで成功しています。
アップル信者はみな、迷わずiPhoneを購入します。
それはアップル社が企業の哲学やコンセプトを常に訴え続けていることが
バックボーンとしてあります。
自己表現としての価値
近年、特に重要とされているのが、自己表現としての価値です。
これは、商品に機能価値や感情的価値を持たせ、共感と信頼を与え、商品を認知させる。
だけでなく、商品を通して感動的体験を与え、自己表現に結びつけるブランディングです。
多くの人はスマートフォンが手放せなくなっています。
スマートフォンを家に忘れて外出しようものなら、不安になります。
それは、スマートフォンが自己表現となっているからです。
スマートフォンにある、LINEやゲーム、写真という機能に魅力を感じる以上に、
それらの機能が自分自信の一部になっているのです。
商品を通して、ユーザーはどう変わることができるのか?を価値としてブランディングします。
ブランディングの構築
ブランディングを構築するためには、
「機能的価値」「感情的価値」「自己表現としての価値」を突き詰めることです。
また、最初は機能的価値から始め、次に感情的価値。
そして、自己表現としての価値へとステージを進化させることも重要です。
PlayStation4では、
「できないことが、できるって、最高だ」をテーマとしたTVコマーシャルを展開しました。
ゲーム機の機能は十分に知られています。
また、ゲームのファンは多いでしょう。
そこにプラスして、ゲームなら「できないことが、できる」と
自己表現を全面に押したブランディングを行っています。
ブランディングで成功するのは簡単なことではない
ブランディングは一足飛びで構築できるものでも、簡単に成功に導けるものでもありません。
ルイ・ヴィトンがそうであったように、長い年月を要する場合もあります。
しかし、ブランディングがしっかりと出来ていないとユーザーは購入してくれません。
ブランディングは商品を販売する上で重要な戦略と捉えて取り組むことが必要です。