目次
コンサルタントとは?
一口にコンサルタントと言っても、
経営コンサルタントから専門分野に特化した関わりなど幅広い分野で活躍の場があります。
ここではコンサルティング業務のなかで避けて通れない
「IT」に関連するコンサルタントを中心に考えてみましょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センターが設けた委員会がまとめた
ガイドブック「コンサルタント育成ガイドブック」は、
コンサルタントの立場や業務を定義しています。
顧客の経営目標やビジョンの策定に関わり助言や指導をすることは当然ですが、
支援に対して「顧客満足度と実現の可能性に責任を持つ」と書かれています。
「結果に責任を持つ」ことが重要です。
コンサルタントに求められる7つのスキル
「ソリューションの提案」と「結果に対する責任」に必要な
「知識」「技術」「行動」の3点を踏まえて、
コンサルタントに求められるスキルを「7項目」に絞って考えてみましょう。
観察眼&論理的思考能力
コンサルタントは常に、
「課題の明確化」「ソリューションの提案」「実行」
という時系列のプロセスを同時にイメージする必要があります。
また、それぞれの時点で多岐に渡る要素と、
背景にある要因も意識し必要に応じてデータを収集し
現状をヒアリングすることも重要な作業です。
ポイントはロジカルシンキングの基本MECE(ミーシー)です。
漏れなく、ダブりなく、必要なポイントを選択し
課題やソリューションに及ぼす影響をつかむ判断をしなければなりません。
こうした、現状、背景、時系列で浮かび上がるそれぞれの要素を、
独自の観察眼と論理的思考能力を発揮して正確につかみ、
仮説思考によって全体を組み立てる能力が求められます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は相手との意志疎通に欠かせないスキルですが、
さらに「結果の本質に迫る質問力」や
「押し付けにならないよう提案を理解してもらう説得力」
「協力を得ながら進める行動力」も重要です。
基本は、質問力です。
クライアントの担当者によっては、ぶっきらぼうな答えしか返ってこない職人気質の人もいます。
「問題はありませんか?」ではなく、「この状況の原因は何ですか?」と具体的に聞きながら、
本質に迫る質問力が必要です。
さらに、課題を明確にしたソリューションを押し付けるだけでは
クライアントの理解は得られません。
かみ砕いて説明し、疑問点に丁寧に答えていく粘り強いコミュニケーション能力が求められます。
実行段階に入ると、クライアントに指示する場面も出てきます。
コンサルタント業務を開始した段階から信頼関係を深めておかないと、
クライアントの行動を促すことができなくなります。
専門的な知識&技術
コンサルタントには高度な専門的な「知識」や「技術」が求められます。
「行動」については、コンサルタントとしてのキャリアによって少し違う対応が出てきます。
たとえば、IT専門職からコンサルタントになれば、
生産管理や販売現場におけるコミュニケーション改革よりも
システム構築によるソリューションを中心に提案し改善に向けた行動に移します。
「コンサルタント育成ガイドブック」は、
コンサルタントになる方法として3つのキャリアパスモデルを紹介しています。
セールスやITスペシャリストからなる場合、
特定の業界で培ったビジネスの実績をもとになる場合、
大学を出てコンサルタント会社に入社してOJTなどで経験を積んで独り立ちする場合です。
コンサルタントの知見や経験によって、細部のソリューションは多少異なる場合もあるでしょう。
また、知見が及ばない問題はチームを組むことで解消する場合もあります。
マネジメント力
マネジメント力とは、計画に基づいて実行する能力です。
ソリューションを策定しても、コンサルタント自身が全てを行うわけではありません。
たとえば、新規に立ち上げるネットショップも、
コンセプトの指示まではコンサルタントが行いますが、
実際にデザインしショップを構築する作業は専門のスタッフが行います。
こうした業務遂行能力とともに、予算管理も重要な仕事です。
日常的に起こり得る例として、ショップ掲載商品が当初計画では1万点であったのに、
途中から5万点に増やしたいといったことも出てきます。
また、業務改善フローに基づいて計画した
システムの改善が計画したプログラムでは十分実現しない場合もあります。
こうした、「事前の計画」と「突発的な変化」に対して、
クライアントとの調整も含めて柔軟に対応するマネジメント力は必須のスキルだと言えます。
コミットメント
コミットメントとは「約束」や「確約」とも言われるように、
単に関わり合うだけでなくある意味で主導的役割を果たしながら
お互いの約束を果たすという意味合いがあります。
コンサルタントも、すべての範囲のスキルが完璧であるわけではありません。
仕事をしながら論理力やセルフマネジメント力も確認し、
解決策を再検討しながら業務を進めます。
こうした姿勢がクライアントの信頼につながり業務は進行します。
基本は、成功するまで逃げずにやり遂げる姿勢です。
「結果」に責任を持つことが求められるコンサルタントには当然のスキルですが、
精神的な面から評価される基準の1つとして「コミットメント」が挙げられています。
マインド
マインドというキーワードは少しわかりにくいと思いますが、
コンサルタントの仕事をするうえでの「気質」「気概」というイメージで考えてみましょう。
クライアントのために何があってもやり遂げるという気持ちと、
前に進める意志の強さとも言えます。
クライアントと意見や考え方が異なる場合や
困難に直面したときに、
コンサルタントの本質が表れます。
「クライアントの考えをそのまま受け入れてしまう」場合もあれば、
方向性の違いに対して「自分の判断」を明確に示しながら、
次の最適解を得るプロセスを堂々と踏めるかどうか、
この行動をマインドとして考えることができます。
「頑固者」にならず、「優柔不断」にならず、
バランスを保ちながら業務に立ち向かう「自立した行動哲学」がマインドとなって表れてきます。
体力&精神力
コンサルタントの仕事は知的なイメージが強いものですが、
体力が失われれば気力もなくなります。
知的作業であっても工事現場の肉体労働であっても、
どんな仕事も最後は「体力」の差が結果の満足度として表れてきます。
思考を重ね、時には説得のための資料を徹夜で作ることもあります。
体力と精神力は、コンサルタントに限らずどんな仕事にも共通する条件だと考えて良いでしょう。
体力や精神力に乱れが生じると、小さなミスが発生します。
人間はミスが発生すると処理を急ぎます。
すると、問題が大きくなることがよくあります。
基本的な作業を行いながら、同時に多岐に渡る業務を進めるために体力と精神力は不可欠です。
必要なスキルを見極める
コンサルタントとしての必要なスキルの到達度を自己評価することは、
ビジネスマンとしても重要な作業です。
論理的思考力、コミュニケーション力、専門的な知識や技術、
そしてリーダーシップや交渉力など、
ビジネスの現場で必要なスキルと同じだと考えて良いでしょう。
ビジネスマンとコンサルタントの違いを挙げると、
コンサルタントは常にいろいろなクライアントの仕事に携わるため、
こういったスキルが早く身につくということが考えられます。
客観性的立場で経験を積むため、スキルアップのスピードは早くなります。
ただし、これからコンサルタントをめざす方は一定レベルまで到達する必要があります。
そのもっとも簡単な判断基準は、「社内で一番」になることです。
与えられたポジションで、たとえば目標達成額で1位、あるいは業務改善提案数で1位など、
さまざま考えられます。
それが、オンリーワンの価値と自信につながります。
成功するコンサルタントになる為には?
成功するコンサルタントになる要素を挙げるとすれば、それは何でしょうか。
現役コンサルタントの言葉を見ると、
「3点で考えて」論理的に答える人もいれば、マインド面を挙げる人もいます。
コンサルティングの現場で不可欠となるフレームワークや
論理的思考法はもちろん挙がってきますが、
観察眼、コミュニケーション、体力、情熱、セールス力など様々です。
こういった視点の柔軟性が、成功するコンサルタントの1つの条件かもしれません。
高い知識や技術は当然求められます。また、逃げないでやり遂げる意志も必要です。
その当然の資質に加えて、目の前の課題だけに集中しないで、
客観的に自分を評価できるスキルも重要なポイントだと言えそうです。
まとめ
コンサルタントに必要な7つのスキルを紹介しましたが、
コンサルタントになる方法は大学や大学院を卒業してコンサルタント会社に就職、
あるいは転職するだけではありません。
自分の与えられた仕事や組織が抱える問題点を意識し、
課題としてソリューションモデルを考え提案する、
そういった貢献を積み重ねることによって評価が広まります。
現場で培った知識や技術を自分の「強み」にすることで、
コンサルタントとして活躍する道も開けてきます。
「やる気」「やり遂げる気持ち」は、
コンサルタントとなると決めたときから試されているのかもしれません。