「天職」と「適職」は違う!?意味を知り幸せな仕事選びに役立てるポイントとは?
目次
はじめに
「天職につきたい」
日々仕事に励んでいる社会人の方であれば、
一度はこのことを考えたという人も
多いのではないでしょうか。
ですがその「天職」がどのようなものであるのか。
その意味については漠然としたイメージしか
持てていないという人も、
意外と多いかもしれません。
そこで今回は、
多くの人が憧れる「天職」について、
その意味と、
「天職」について活躍するとはどのような状況であるのかについてを
具体的に考察してみます。
さらには「天職」という言葉と
しばしば混同されがちな
「適職」という言葉の意味についても考察し、
「天職」との相違点についても確認してみます。
「天職」とは?
「天職」の意味を辞書で調べると、次のように説明されています。
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〇天職
〔天から与えられた職務の意〕
① その人の性質・能力にふさわしい職業。 「教師を-と考える」
② 神聖な職業。特に、天子が国家を統治する職務。
③ 江戸時代の遊女の階級の一。天神てんじん。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(「大辞林」第三版より)
冒頭に、
「天から与えられた職務の意」とありますね。
具体的には神様や仏様のような、
とても大きな存在から選ばれたとしか思えないような、
天性の才能を活かした仕事についているケースを
想定すればいいかもしれません。
表現で具体例をあげるならば、
「イチロー選手はプロ野球選手になる為に生まれてきた」
という風なものです。
「天性の才能を持つ人」とは
所謂「天才」のことですから、
言い換えれば、
「イチロー選手は野球の天才である」
という表現もできるでしょう。
誤解のないように言いますと、
いくらイチロー選手が野球の天才であるからといって、
イチロー選手個人の努力や苦労、
様々な創意工夫を否定するわけでは、
もちろんありません。
それどころか、
イチロー選手ほどの「スーパースター」であれば、
並みの選手よりも
はるかに多くの努力をされてきたのではないかと推察します。
ですが「スーパースター」であるからこそ、
並の選手では持ちえない
天賦の才能を持って生まれたという、
そうとしか考えらえないという、
厳然とした事実があるはずです。
話をわかりやすくするために、
イチロー選手の例をあげましたが、
他にもトップアーティストや人気作家、
あるいは「経営のプロ」と評されるようなカリスマ創業者などにも、
「天職」という言葉はうまくフィットしそうです。
「適職」とはどう違うの?
この「天職」と似た言葉として、
「適職」という言葉があります。
「適職」の意味を辞書で調べると、次のように説明されています。
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〇適職
その人の能力・才能などに合った職業。「適職を選ぶ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(「デジタル大辞泉」より)
さきほどの「天職」の定義とは、
微妙に違うニュアンスを感じませんか?
「天職」が
「限られた人(=天才)に与えれた仕事である」
というニュアンスが強いとすれば、
「適職」は
「広く一般的な社会人に向いた仕事である」
と言い換えられるかもしれません。
例えば一般的なサラリーマンのケースを想定してみましょう。
本人はもともと外回りの営業職を希望していて、
バリバリ契約をとって好成績をあげたいと考えている。
ですが実際はやれどもやれども契約がとれず、
本人の頑張りが結果につながらない。
そこで人事異動で内勤職に転向したところ、
途端に仕事上の評価が高まった、というようなケース。
この場合本人は、
営業職に対するモチベーションがあり、
まさに「天職」にしたかったわけですが、
実際には本人の気持ちとは裏腹に、
内勤職という「適職」と出会った、
ということになります。
こうしてみると、
「天職」=本人が元々つきたい仕事であり、モチベーションが高い
「適職」=必ずしも本人が希望している仕事ではないが、結果が出せる仕事である
とまとめることができそうです。
「天職」についたときのメリット
以上「天職」と「適職」について、
辞書的な意味と相違点について、確認をしました。
ここからは、
「天職」と「適職」についた際のメリットについて、
さらに掘り下げてみることにします。
まずは「天職」についた際のメリットについてです。
「やりがい」を感じることができる
『「天職」とは?』でみたように、
「天職」とは
「天から与えられた職務」を意味するのでしたね。
そこではやはり、
大きな「やりがい」を感じることが出来るのではないでしょうか。
一流のアーティストやプロスポーツ選手には、
なろうと思っても
なかなか簡単になれるわけではありません。
それこそ子供の頃に
「将来の夢」として描いていたような
仕事につけるならば、
大きな「やりがい」を持って
活躍することができるでしょう。
社会的な使命感を持ち、誇りを持って取り組める
例えば
優秀なお医者さんや敏腕の弁護士さん、有能なコンサルタントの方などのような場合は、
有名人ではなくとも、
「代わりが沢山いる」という仕事ではありません。
その希少性ゆえに、
「私がやらなければならない!」
という社会的な使命感を
仕事の中に持つことが出来ます。
誇りを持って取り組むことも出来るでしょう。
「適職」についたときのメリット
つぎに、「適職」についたときのメリットについてです。
職場で高い評価を受けられる
『「適職」とはどう違うの?』でみたように、
「適職」は
必ずしも本人が希望している仕事ではありませんが、
結果が出せる仕事のことをいうのでしたね。
基本的に仕事においては、
本人の意欲や願望よりも、
能力や結果を評価されるという
観点にたてば、以下のことがいえるでしょう。
すなわち、
・「適職」について高いパフォーマンスを発揮することで、職場で高い評価を受けることができる
というメリットです。
プロスポーツ選手や芸術家などは言うに及ばず、
一般的なサラリーマンなどの職場においても、
基本は結果重視ですから、
昇進・昇給といった
ストレートな評価につなげることができるというわけです。
努力したこと、頑張ったことを形にできる
例えばある人が子供の頃から野球をやっていて、
将来はプロ野球選手で活躍することを夢見ていたけれども、
残念ながらその夢はかなわなかったというケースを、
想定してみましょう。
このようなケースは、確かに残念ですよね。
ですが、
その人が青春の日々を費やして
必死にトレーニングしたり切磋琢磨したプロセスは、
決して無駄になったわけではありません。
プロ野球選手にはなれなくても、
その経験を活かして、
野球教室の先生になったり、
トレーニングジムのインストラクターなどになれる可能性もあります。
これも「適職」についたケースといえるでしょう。
なぜなら、
その人の持つ能力や経験が実際に、
仕事として活かされたわけですから。
「適職」が「天職」なら最高だが・・・
以上「天職」と「適職」の意味と、
それらの違いについてまとめました。
もう少しだけ確認するべきポイントがあります。
「適職」が「天職」なら最高である
「天職」と「適職」の意味を総合すると、以下のことがいえます。
・「適職」が「天職」になれば、文句なしに最高である
自分に向いていて、
高いパフォーマンスを発揮し、
社会的な評価も受けることができる。
それでいて、
「自分がこの為に生まれてきた」
というような実感を得ることができる。
一流のスポーツマンやアーティスト、著名人になれば、
国内外の多くのフォロワーを集めることも可能で、
「夢を与えられる存在」にもなるかもしれません。
そうです。
「適職」が「天職」であれば、これほどいいことはありません。
「天職」は絶対見つかるとは限らないが、「適職」は必ず見つかる
ただし現実には、
「天職」について
限られた分野で成功をおさめることができる人の数は、
それほど多くないかもしれません。
ですから、
・「天職」につけなくても、社会人として×ではない
ということも忘れないでください。
ここで皆さんに質問です。
「青い鳥症候群」という言葉をご存知でしょうか?
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〇青い鳥症候群
精神科医の清水將之が、1983年の著書『青い鳥症候群 偏差値エリートの末路』の中で提唱した概念。
青い鳥症候群に罹患した人は、理想と現実とのギャップに不満を感じるあまり、
理想を求めて次々に新しいものを手に入れようとする傾向があるとされる。
主に、天職を求めて何度も転職を繰り返す、忍耐力に欠けるとされる若者を指して用いられることが多い。
メーテルリンクの童話『青い鳥』にちなんで命名された。
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(「実用日本語表現辞典」より)
メーテルリンクの童話『青い鳥』のあらすじはこうです。
「幸せの青い鳥」が、
ここにはないどこかにいると信じて、
必死に探し回ります。
ですが、
探せど探せど、
「幸せの青い鳥」は見つかりません。
ついに諦めて家に戻ったら、
なんとそこに「幸せの青い鳥」がいたというお話です。
「青い鳥症候群」とはまさに、
この「幸せの青い鳥」を
外で何度も探し回っている状態、
「天職」を探して転職を繰り返している状態を
指し示しているわけですが、
それよりも大切なことは、
自分の自宅に「幸せの青い鳥」がいた、という事実です。
「灯台下暗し」という言葉がありますが、
少しニュアンスが近いかもしれません。
ですから、次のことをしっかり確認しておきましょう。
・「天職」は絶対に見つかるという保証はないが、「適職」は必ず見つかる
まとめ
以上、
「天職」と「適職」の意味や、
その相違点などについて確認してきました。
まとめると以下のようになります。
・「天職」は 「天から与えられた」職業であり、「適職」は単純にその人に向いた職業である
・「適職」が「天職」だと最高である
・「天職」は見つかるとは限らないが、「適職」は探せば必ず見つかる
ということです。
「天職」と「適職」は、
言葉が似ており、
同じようなものだと考えている人も多いかもしれませんが、
こうしてみると、
実は結構な相違点があることがわかりましたね。
「天職」について成功できる人は幸せですし、
自分なりに見つけた
「適職」でパフォーマンスを発揮することも素晴らしいこと。
ぜひ今一度、振り返って考えてみてください。