コンサルティング力アップのための勉強法5選
クライアントの悩みや課題についての相談を受け、アドバイスを行うことで解決する。
それが主な仕事であるコンサルタントは、顧客のニーズに応え続けるために日々の勉強が欠かせません。
今回は、戦略コンサル、ITコンサル、人材コンサルなど様々なコンサルタントに共通する勉強法から専門的な勉強法までをご紹介します。
目次
情報収集で業界・会社の勉強
一つ目の勉強法は、業界やクライアントに対する理解を深めるため、業界・会社に関する情報を収集することです。
プロジェクトに配属された後は、2~3日でクライアントや業界に関する知識を詰めるのが一般的です。
しかし、短期間ではカバーしきれない情報や知識、ニュースが出てくるでしょう。
情報の多さ、少なさがヒアリングの際の質問の質、クライアントに行うアドバイスの質、ひいてはクライアントの業績結果に繋がっていきます。
自身が持てる最大限の価値提供を行うため、スキマ時間などを使って日々情報を集めましょう。
・過去の業界紙を購入して読む
・毎朝業界や会社に関するニュースを読む
・業界の最新情報を扱っているコラムを読む
など一人でもできることはたくさんあります。
また、自身の会社が何かしらの専門コンサルだった場合、過去のコンサルティング事例に関する資料を読んだり、分からないことがあれば先輩に聞いてみるのもよいでしょう。
外部のイベントや懇親会などに参加して人脈を作るのも情報収集の一つの方法でしょう。
業界知識やクライアントに関する情報収集は、コンサルティング力を上げるための基礎の基礎と言えるでしょう。
現状分析と課題特定の練習
情報が集まったら、現状分析や課題特定の練習をします。
方法としては、過去の事例から、企業がどのような問題を抱えていたのか、解決するためにどのような施策を行ったのか、その結果どのような変化があったのかを分析します。
実際に行われた分析や特定された課題と照らし合わせて、自分だったらどのような結果になっているのかを考えましょう。
収集した情報から重要なものや関連のあるものを取捨選択し、課題を特定する癖をつけておけば、本番でも焦らず行うことができるでしょう。
経営コンサルタントの人であれば、中小企業診断士の問題が良い勉強になります。
中小企業診断士のテストの中には、企業の現状分析と結果の分析を扱う問題があるからです。
効果のある解決策を提示するためには、根本的な問題を正確に特定することが必要です。
日頃から練習を重ねて、分析する癖をつけましょう。
ヒアリングの勉強
クライアントの潜在的な課題を見つけるためには、深みのあるヒアリングを行わなければなりません。
深みのあるヒアリングを行うためには、クライアントとの信頼関係を築くことが必要不可欠です。
クライアントの体の姿勢や手足の動き、表情、声の高さ、呼吸や言葉遣いなどを真似て、信頼関係を築くラポール形成というテクニックがあります。
インタビューやヒアリングの時に上手く話しが続かない人やクライアントから信頼関係を得られていないと感じる人は、ラポール形成術を勉強してみましょう。
人財コンサルなど個人がメインの顧客になるコンサルタントは、友達や親族の悩みを聞く過程でこのテクニックを試してみるといいでしょう。
信頼関係を築くことができれば、クライアントが悩みや不安を言いやすくなり、多くの情報を引き出すことができます。
また、雑談中に出た本音から潜在的な課題を見つけることもできるかもしれません。
他にも、5W1H(What, Why, When, Who, Where, How)を使って角度を変えながら質問をするテクニックもあります。
これを使うことで、抽象度が高かった課題を具体的な課題まで落とすことができます。
YESかNOで終わるクエスチョンより、相手の情報を引き出すオープンクエスチョンを使ってみてください。
ロジカルシンキングの勉強
ロジカルシンキングもコンサルタントにとって欠かせない勉強の一つです。
クライアントの課題を抽出し解決する時だけではなく、報告書をまとめる時、プレゼンをする時、クライアントに説明をする時など、様々な場面で役に立ちます。
客観的な情報を元に、論理的で説得力のある説明ができるようになるために、ロジカルシンキングの勉強をしましょう。
ロジカルシンキングを行う際の代表的なフレームワークとして、MECEがあります。
MECEとは簡単に言うとモレなく、ダブりなくという意味です。
見落としてしまった情報がないように、そして話が重複しないようにするためのテクニックです。
また、帰納法や演繹法も使うことができます。
帰納法とは、複数の具体的な例を挙げ、共通点を見つけ出し、結論を出す方法です。
簡単な例として、「大企業Aの平均年収は高い」「大企業Bの平均年収は高い」「大企業Cの平均年収は高い」という観察事項があったとします。
この3つに共通する点は、大企業であるということです。
結果として、「大企業の平均年収は高い」という結論が出ます。
ただし、帰納法を使う時には、いくつか注意しなければならない点があります。
それは、論理が飛躍してしまうこと、共通点がいくつかある場合が多いこと、そして具体例自体が間違えている可能性があることなどです。
先ほどの例で言うと、大企業でなくても平均年収は高いかもしれません。
また、ABCがたまたま業界トップの大企業だったので平均年収が高いのかもしれません。
帰納法を使う時は、データが客観的で正しいか、データから結論に至るまでが飛躍していないか確認しましょう。
演繹法とは、あらかじめ決められた基準に事象を当てはめて、その結果をもとに結論を導く方法です。
例として、5段階中の3レベル(5が最高)のリスクであれば、プロジェクトを実施するというルールがあったとしましょう。
事業買収のリスクはレベル1であるという観察事項があった場合、導き出される結論は、事業買収を実行するになります。
演繹法にもデメリットがあります。
それは、あらかじめ決められたルールが間違っている場合がある点です。
過去の経験から基準を決める場合が多いと思いますが、その基準自体がクライアントのケースに合っているのかなどを確認したほうが良いでしょう。
その他にも、ピラミッドストラクチャーや原因究明ツリー、要素分解ツリーなどのフレームワークを使用してロジカルシンキングの練習をしましょう。
本を読んで勉強
最後にオーソドックスな勉強法をご紹介します。
それは、本を読んで勉強することです。
ITや教育、農業、経営、金融などの専門知識やコンサルタント全員に共通するスキルを体系的に勉強するには、本を読むのが一番効率的であると言えます。
上記でご紹介した、課題特定の練習、ヒアリングの仕方、ロジカルシンキングの方法などコンサルタントに必要不可欠なスキルを学べる本。
仕事中に使える、フレームワークやプレゼンの仕方、報告書の書き方がまとまっている本。
過去の事例と分析方法が載っている、ケーススタディを行える本。
業界や企業分析に必要なビジネスモデル大全や四季報。
コンサルタント向けの勉強法がまとまった本。
IT、人材、金融業界の動向など専門知識に特化した本。
など、様々な本が書店やオンラインで販売されています。
どれを選べばよいか分からない人は、ビジネス書大賞にノミネートされた本や、ベストセラー本の中から自分の業務に関連する物を選びましょう。
例えば、2019年度の大賞受賞本である、「AI vs. 教科書が読めない子供たち」は教育コンサルタントやITコンサルタントにおすすめです。
また、同年度にノミネートされた「ビジネスフレームワーク図鑑」は、70ものフレームワークが分かりやすくまとまっていますよ。
まとめ
今回は、顧客のニーズに応え続けるために欠かせない日々の勉強方法をご紹介しました。
体系的に効率よく学びたい人には、本で学習する方法がおすすめです。
今回ご紹介した課題特定やロジカルシンキング、ヒアリングなどを勉強して、コンサルティングのスキルアップに繋げてみてくださいね。