ラポールとは?コンサルタント必見!信頼関係構築テクニック
あなたは「ラポール」という言葉を知っていますか?
ラポールとは一言で言うと「信頼し合う関係」のことを指します。
コミュニケーションの前提条件として心理療法に使われますが、実はコンサルタントの仕事にも通じるものがあります。
今回は、どうすれば「信頼し合う関係」を築けるのか?
そしてラポールをコンサルタントの仕事にどう生かすのかをご紹介します。
目次
ラポールとは?
ラポールは、互いに信頼し合い安心した状態で話し合いができる状態のことをいいます。
元々は臨床心理学の用語で、セラピストとクライアントの間の心理状態を指していました。
しかしラポールという概念は、今日では臨床心理以外にも使われています。
例えば、コンサルタントとクライアントの間で安心して悩みを話せる環境を作ること。先生と生徒の間で信頼関係を築く時などです。
コミュニケーションを取る際に、相手の警戒心を解き本音で話せる関係を築くことはとても大事ですよね。
そんなコミュニケーションの大前提ともいえるラポールはどのように築いていけばいいのでしょうか。
ラポールを築くための6つのテクニック
ラポール、つまり「信頼し合う関係」を形成するには、大きく分けて6つのテクニックとマインド1つが必要です。
ここからは、まず6つのテクニックをご紹介します。
ペーシング
ペーシングとは神経言語プログラミング(NLP)という、実践心理学から生まれたコミュニケーションテクニックの一つです。
ペーシングでは、クライアントに合わせた言葉遣いやジェスチャーなどの行動をとることで、類似性を感じさせ、クライアントとの心理的距離を縮めていきます。
人は共通点があると仲良くなりやすく、良好な関係を築いている者同士は同じ動作をしがちであるという話を聞いたことはありませんか?
これは心理学的な用語で「類似性の法則」と呼ばれます。
ペーシングもこの法則を使って、クライアントの心を開いていきます。
ミラーリング
ミラーリングのミラーは鏡を指しています。
ミラーリングでは、クライアントの仕草、呼吸、腕の組み方などの目で見える情報を鏡写しのように合わせていきます。
可視化できる情報を元にクライアントに合わせていくので、ペーシングの中で一番簡単な方法と言えるでしょう。
クライアントが悲しそうな表情をして悩みを話しているのであれば、こちら側も悲しそうな表情を作ります。
感情に寄り添うことで、クライアントの本音を引き出しやすくなります。
マッチング
マッチングでは、クライアントと話すスピードや声のトーンを合わせていきます。
例えば、早口で簡潔に話す人にはこちらも論理的でテンポの良い会話を心掛けま す。声のトーンが低い人には、こちらも声をできるだけ低くします。
自分は低い声でゆっくり話すのに、相手が高い声で早口で話していると、話しずらいなと思いますよね。
声のトーンなどを合わせることで、無意識に心地よい言葉のキャッチボールができますよ。
バックトラッキング
バックトラッキングは、オウム返しとも呼ばれています。
これは、クライアントが言った言葉を繰り返して会話をするテクニックです。
例えば、クライアントが「今日は暑くて歩くのが大変だったよ」と言ったらこちらは「今日はとても暑いですよね。歩くの大変でしたね」と返します。
他にも、「ビジネスではプロセスも大事だと思っている」と言った場合、「仕事ではプロセスも大事ですよね」と返します。
全く同じ言葉または、要約した言葉で返すことで自分の話をきちんと聞いてもらっているという安心感を得ることができ、心を開きやすくなります。
また、自分の意見に同調を示してくれていると感じるので、信頼感を得やすくなります。
キャリブレーション
ラポール形成のために必要なスキルの5つ目は、キャリブレーションです。
キャリブレーションとは、クライアントの心を非言語分野から理解するテクニックのことです。
姿勢・動きや声のトーンを意識して観察し、クライアントの心理状態を読み解きます。
例えば、言葉では「なんとかなると思う。大丈夫。」と言っていた場合でも、不安そうな表情をしているかもしれません。
その際に、「不安ですよね」と声をかけてあげると、自分のことを理解してくれているんだと感じ、信頼度を高めることができます。
ダブルバインド
ダブルバインドとは、日本語で二重拘束と言います。
ビジネスでのダブルバインドと聞くと、二つの矛盾したメッセージを受けた人が精神的に束縛される状態に陥ってしまうことというネガティブなイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし、ラポール形成の際のダブルバインドは肯定的な二重拘束を意味します。
それは、クライアントがどう反応しても肯定的に返すというテクニックです。
例えば、「仕事は好きですか?嫌いですか?」という問いかけに対して、クライアントが「好きです」と答えても「嫌いです」と答えても肯定的な返事をします。
肯定的なダブルバインドでクライアントに対する共感を示すことができるので、信頼度を高められます。
次にラポールを形成する時に必要なマインドをご紹介します。
クライアントの感覚タイプを理解する
人間のタイプは大きく分けて3つあると言われています。
視覚的、聴覚的、そして身体的タイプ(もしくは体感覚タイプ)です。
頭に入ってきた新しい情報を判断しインプットする時に優位的に使う体の部分によってタイプが変わってきます。
相手がどのタイプなのかを理解して、相手のタイプに合った対応をすることでラポールを築きやすくなります。
それぞれのタイプの解説を以下にまとめてみました。
視覚的タイプ
視覚的は、色や形などの可視化できる情報を使ってインプットしていく傾向があります。
なので、「イメージとして」や「未来を見る」「ビジョンがぼんやりしている」などの言葉を使います。
図や映像を見て判断するのが得意です。
クライアントがこのタイプであれば資料を使ったり、イメージを沸かせる言葉を使うことが効果的になってきます。
聴覚タイプ
聴覚的は、音や言葉から情報を取って判断します。
理論や定義、名言や知識を覚えて、それを使うことが得意だと言われています。
「リズムがいい」「うるさい」「言葉の意味」などの聴覚や言葉に関することをよく使います。
クライアントがこのタイプであれば、論理的な話し方や言葉の定義をこころがけるとよいでしょう。
身体タイプ(体感覚タイプ)
身体タイプは、触覚・嗅覚・味覚などから情報を取ってきます。
感情や気持ちをジェスチャーを使って表現することが得意です。
「気持ちいい感じ」「むかむかする」「腑に落ちない」などの感覚的な言葉を使う人が多いです。
専門用語などの的確で論理的な言葉の使用量を少なめにして、感覚的な語彙を使って話を始めるのがよいでしょう。
ラポールをコンサルタントの仕事に生かそう
ここまで、どうすれば「信頼し合う関係」を築けるのか、つまりラポール形成の仕方をご紹介してきました。
ここからは、ラポールをどうコンサルタントの仕事にどう生かすのかをお伝えしていきます。
もっとも使いやすいのはクライアントや見込み客と会話をするときに使っていくことです。特に初めてのヒアリングや体験セッションのときに信頼関係を築いていくことが大切です。
ほとんどのコンサルタントは、一番初めにヒアリングや体験セッションを行うでしょう。
初めてのヒアリングでクライアントの心を開き、クライアントからの信頼を得られるかどうかが、案件獲得や次回の面談をスムーズに行うことに深く関わってくると言えます。
まずはペーシングやミラーリングなどの視覚的な情報を使って簡単にできるテクニックを使用しましょう。
バックトラッキングなどでクライアントの言った言葉を繰り返していると、クライアントが視覚的・聴覚的・身体的のどのタイプなのかが見えてくるでしょう。
後はそれぞれのタイプに合わせて話を進めていくだけです。
「私の話を理解してくれている」「この人は私の話を聞いてくれる人だ」とクライアントが感じることができれば、おのずと心がオープンになっていき、信頼関係を築くことができるでしょう。
おわりに
今回は、ラポールの定義、ラポール形成に必要な5つのテクニックとマインド、そしてコンサルタントの仕事でどう生かすかをご紹介しました。
ラポールは「信頼関係」であり、「信頼関係」を形成するためには、「ペーシング」「ミラーリング」「マッチング」「バックトラッキング」「キャリプレーション」「ダブルバインド」の6つのテクニックを使います。
また、相手が視覚的・聴覚的・身体的のどのタイプか把握するのもよいでしょう。
コンサルティングの実力や専門知識があることは、コンサルタントにとっての大きな武器になりますし当然必要なことではあります。
しかし、クライアントとのコミュニケーションによって信頼関係を得ることは、場合によっては専門知識以上に大切なことです。
クライアントとラポール形成をすることを意識してコンサルティングをしてみてくださいね。