日本では、コーチと言えば野球のコーチ、サッカーのコーチなどが主流です。
アメリカからやってきたコーチ、コーチングは、日本で使われているコーチとは少し違います。コーチの語源と役割についてお伝えします。
目次
コーチの語源はハンガリーから?
コーチという言葉は、普段何気に使われていますが、ちゃんとした語源があります。
コーチングは英語ですが、その語源はハンガリーの「Kocs(コチ)」という町から来ています。
コチは、世界で初めてサスペンション付きの4輪馬車を製造した街として知られており、階級制度の時代、貴族に代表される、大事な人や物を運ぶアイテムとして重宝されたそうです。
大事なものを移送する → 大事な事柄を相手まで伝える →
相手の目的を達成させる → コーチやコーチングとなったんですね。
ちなみに、アメリカのバッグの有名ブランドのコーチも、ほぼ同じ語源なんですよ。
歴史から紐解くコーチ、コーチング
1950年代のアメリカで、コーチングが注目されはじめます。
出版物により宣伝されはじめるのは1980年代、さらに一般向けにセミナーが開催されはじめるのは、1992年からです。
コーチングは、カウンセリングとは違います。
カウンセリングは悩みの解決ですが、コーチングは、個人の目標の達成のための手引き的なニュアンスが、強くなっています。個人向けの人生の目的などについてのコーチングに始まり、最近はビジネス向けのコーチングに、流れが変化しているようです。
例えば、GoogleのCEOが、今後ビジネスを展開したいという人や、既にビジネスを初めている人のためになるような行動を起こした場合、コーチングの領域に入ります。
つまり、ある人の成功体験、失敗回避断、理論、気づきなどを、何かしら目的をビジネスにおいて達成したいと考える人々に提供しながら、相手の潜在能力を開花させることがコーチングであり、自己啓発セミナーなども含まれます。
日本におけるコーチとは
日本でも、ビジネスにおいてコーチングが活躍しています。
コーチングを導入した企業の離職率が減った、会社全体の売上が上がった、などの効果を奏しているようです。
日本に、アメリカからコーチングという考え方がやって来たのはつい最近で、1997年が始まりだとされています。
スポーツでは監督のほかにコーチがいますね。そのコーチとは似て非なるものなのです。
スポーツにおけるコーチは、やる気、目的達成の意欲をおこさせるためのアプローチ、つまり、本来のコーチングはもちろん行いますが、同時にスポーツそのものの指導もします。
コーチングでは、クライアント(受講者)が取り組んでいる手段の直接指導は、しないのです。
コーチの役割とは?
コーチの役割は、コンサルタントとは少し違ってきます。
例えば、中学受験の進学塾を例にしてみます。
子供達に、講師は受験勉強そのものの理論、知識、テクニックを教えるのが一般的です。ですが、進学塾では授業に平行して別の時間を設け、生徒たちのモチベーションを上げる取り組みもしています。
塾に通っていてもやる気が起きない場合は、勉強の効率が下がってきます。それを阻止するために、生徒のやる気を引き出す授業もあるんですね。
コーチングは、クライアントに目的の手段(塾で言えば勉強)をダイレクトに教えるのではなく、勉強したい(目的に取り組みたい)という気持ちを沸かせる役割があります。
また、コンサルタントと混同されがちですが、役割が全然違います。
コンサルタントはクライアントからヒアリングをした後、その解決策自体を考える役割があるのですが、コーチングの場合、解決策自体はクライアントに考えさせます。
つまり、結果に至る最終行動から決定までをクライアントにゆだねるのがコーチング、
つまり、自信を持って行動する指針を示すのがコーチング、
結果をクライアントに提示するのがコンサルタントですね。
最終的にはどちらの場合も、クライアントは結果を自分のものとすることが出来ますが、その過程において、自分で解決した感が強いのはコーチングによるものだと思われます。
ですが、最近のコンサルタントは、コーチング的な面も持ち合わせていることが求められる時代のようです。
ここで疑問がわきますが、クライアントの考えがコンサルタントに及ばない場合、結果のレベルが違ってくるのではないかと言う問題です。その点での比較をするというよりも、別の視点で考える必要があります。
例えば、ある経営者がコーチングを受けたら、やる気や整理が出来、今まであんなに悩み続けていた問題を、簡単に解決できたなどの効果が得られたとします。
コーチングを受けた結果、経営者が出した答えそのものは、コーチングでは重要視せず、行動に移るまでの気持ちの持ち方、考え方などを伝えていきます。
コーチングは事象の解決ではなく、事象を解決する相手のやる気や潜在能力に働きかける役割が大きいと言えます。
経営者にも、色々なタイプの方がおられます。自分で決めていきたい方もいれば、すべての解決策を誰かに任せ、最終結果だけについて思考をめぐらしたい方など多様です。
コーチングは、問題解決策を提示できないとしても、
問題に取り組み自分で決めたい、決定したいと思う気持ちを芽生えさせることが役割なんです。
コーチには資格が必要?
日本コーチ協会では医療、日本能力開発推進協会では子供、日本体育協会ではスポーツの国際大会など向けの、コーチング資格が用意されています。
資格は、そのコーチの肩書きにはつながりますが、学歴や他の資格と同様にコーチングの資格を持っていれば、売上げが上がるのかという問題とは別問題のようです。
企業へ就職する場合は、資格を持っておいたほうがいいのと同じです。コーチングは資格取得前でも独立開業できる仕事なので、資格取得にはげみながら実務をする方もおられるくらいです。
また、どこかの有名な企業の経営者であるとか、その道30年のベテランなどは、同じ職種の方の悩みをすぐに察知することに関しては優れていると言えそうですが、大切なのは時代に即したコーチングですので、経験が浅くても今から未来のことについて、その人が自信を持って行動出来る指針を示せる方であれば、コーチングに向いていると言えそうです。
極端な話、いつも朗らかで特に資格も学歴も持っていないのに、なぜか人を魅了するような人がいたとします。
その人から何気ないアドバイスを聞くことで、聞いた人が得られる何かを得た時、それがコーチングになるのではないでしょうか。
いくら高学歴で大企業に長年勤めていたとしても、その方が他の方に、自分の成功ノウハウを話すだけでは、聞いた人は同じ様に実践できません。
コーチングは、その人にあった、その人が成功するための何かを、伝えることが出来る人に向いていると思われます。どちらかと言えば資格よりも、信頼が重視される仕事だと言えそうです。
普通の会話とコーチングの違い
普段会話される場合は、こんなことが反射的に行われているのではないでしょうか?
●相手が話題をふる → まずは自分のことを考え、自分が知りたい事、聞きたいこと、思ったことを整理する:
そこには相手との比較、他者との比較、主観や客観が入り混じる。
→相手に返事(自分の聞きたいこと、知りたいこと、思ったこと)をする
●自分の伝えたい欲求が、発生する
(今日は、こんなことがあって自分はこう思った、こんな嫌なことや嬉しいことがあったなど。)
→相手に伝える
ここには、相手が望む返事、つまり、相手視点で物事を考えて返事をするという視点が欠けています。
ですが、一般的に会話は自分視点でされることがほとんどですし、お互いに本音をぶつけ合うような会話はそうだと思いますが、いかがでしょうか。
一方、どちらもが自分視点だけで会話していますと、当然続かないですし、時には誤解や擦れ違いによる衝突も多くなります。仕事上でいつも相手と2時間も3時間も口げんかしていれば、それは仕事の効率の低下につながっていきますよね。
一方、コーチングはビジネスライクな会話なので、相手の欲求をまず確認し、それに対して相手のために行動(返事)することがマストで求められます。
会話を速めるというよりは、誤解なく同じ共通認識のもと会話をすすめることが出来ることで、結果的に無駄な誤解や無駄な衝突がないことが、ビジネスには必要になるからです。
まずは、相手と自分の共通の目的を把握しなければいけません。
●今、何について取り組んでいるのか → 2人の共通の目的の把握と確認
目的が細分化されていくこともあるでしょうし、目的が途中で変化していくこともあるかも知れません。
ですが、スムーズに会話をすすめ、ビジネスの利益につなげるためには、共通の目的の確認も時には行いながら、共通の目的のために相手が望むこと、伝えたいことを察知出来なければいけません。
そのためのスタンスを学び、実践できると自信をもてる気持ちに変化させることが、コーチングです。
例えばこんな会話があったとします。
上司:今日は食事時間を早めに取ろう。
部下:そうですね!美味しいランチがここから40分くらいのところに出来たので、案内しますよ。
この時、もしも3日後に完成しなければいけない仕事があったとします。
これが2人の共通の目的です。上司は3日後のことまで配慮に入れ、ランチの時間を前倒ししランチを早く済ませ、仕事に取り組もうと思っていたのに、部下は、上司の意図をランチ充実のための提案だと勘違いしています。
なんて部下だ、と思われるかも知れません。
ですが、もしここで上司が一言、ランチをする前に、今の二人の3日後の完成のための進捗度が、自分(上司)が思っているよりもかなり遅れていることを、部下に伝えていれば、部下も意図を理解することができたでしょう。
上司は自分本位、視点で部下に会話をしかけたから、こういうことになるのではないでしょうか。
逆に、部下もランチの時間を早めようと上司から言われた時、
どうして時間を早めるのかを質問出来ていれば、上司から今の状況を聞き出せたはずです。
つまり、コミュニケーションがうまくいかない時、その原因は上司でもなく部下でもないことになります。
もしもこれが、ビジネスでなければ部下の提案も然りということにもなるのですが。
また、一般の会話のミステイクでよくあるのは、推測ですね。
相手の気持ちを推測するあまり、誤解して推測することで、そんなつもりじゃなかった、そんなはずではなかったという討論にまで発展していくこともありますから。
「私がメールしなかったのは、彼女がメールすると思っていたから。」などです。
ここでもし、私が彼女に「彼にメールしておいてね。」と伝えていれば、そうはならなかったかも知れないのです。
「あの時の文脈で、読み取ってほいかったな。」「そんなの知らないわよ。」となってしまうと、時間のロスにつながります。
コーチングでは、ビジネスにおける目標の実践のためのコミュニケーションスキルも学べます。
コーチはどんな人が利用しているか?
コーチングには、いくつか種類があります。ビジネスパーソンを対象としたものと、これからのビジネスパーソン向けなどがあります。ビジネスパーソンは管理職が多く、個人ではこれからビジネスを展開しようとされている方などの利用が多いようです。
コーチングにも種類がある?
コーチングは、ビジネスパーソン向けと、主婦、主夫、父親、母親、子供、学生など、ビジネスパーソンではない立場の方向けのものがあります。
ビジネスコーチング
コーチングでは、ビジネスライクな考え方を学び、それを管理職などに生かす方が多いようです。
ビジネスに役立つとして、コーチングを利用している企業は、従業員数1000人未満の企業が7割以上を占めています。
大企業ではないからこそ、社員の権限が広いので悩みを持たれる方も多く、コーチングを受けて仕事に生かすことが求められています。
人材を育成する側にいる管理職が、どのようなスタンスで部下を育て上げるのかについての、ヒントやスキルが学べるのがコーチングです。管理職の4割以上は、悩みを相談できる人がおらず、友人に相談していることが多いそうです。コーチングのプロへの相談だと割りきれるので、本音が言えて楽になるなどの効果があります。
コーチングは、ビジネスパーソンが持つ問題そのものの解決方法を提示することはしないものの、自分に問題解決処理能力を開発していけそうですね。
パーソナルコーチング
ビジネスではなく、人生には仕事以外にもいろいろな場面があり、それにかかわる悩みも発生してくるのではないでしょうか。
●よりよい人生を生きたいけれど、そもそも何から取り組めばいい人生が送れるのかよくわからない
●目的は明確化しているが現実と乖離しており実践できそうにない
●対人関係に悩む
●やる気がほしいけれど全然沸いてこない
●過去のトラウマを克服したい
●さらにいい人生が送れるのではないか
●クライアントを増やしたい、転職をしたい
●家族の問題がある
などです。
そんな時におすすめしたいのがパーソナルコーチングです。このような方々が利用されています。
●転職
●結婚
●フリーランス、自営業として独立したい
●人生の目的を効果的にみつけたい
●管理職ではない一般社員や教育関係者
●悩みを持たれている方
●自分を見つめ直してみたい方
など、パーソナルコーチングによって、自己を認めてあげることができ日々ワクワクしてきた、他人とのかかわり方の気持ちが変化した、より自分を見つめ直すことが出来て気持ちがクリアになった、モチベーションが高まり意欲がわいてきたなどの効果が得られているようです。
まとめ
コーチの語源は、相手に大切なことを伝えるというハンガリーの街から来たものでした。
今まで実技を教えるのがコーチだと思っておられた方も多いのではないでしょうか。
極端な言い方をすれば、コーチングで性格もかわるということになるくらい効果が期待できそうです。もちろん、セカンドオピニオン的にコーチングを利用されるのもおすすめです。
コーチングを利用するときに、明確にしておきたいのは自分の才能や適性がどんなものであるかを知っておくことです。
自分の才能の原型がわかれば、コーチングを利用して成長する未来像がいっそう明確になります。
自分の才能を見える化するのに役立つ、おすすめの才能診断テストをいくつかまとめてみました。
よかったら合わせてチェックしてみてください。