あなたはSWOT分析をご存じですか?
ビジネスパーソンなら一度は聞いたことがあるフレームワークではないでしょうか?
主に、会社の戦略策定やマーケティングの意思決定を行う際に使われるものというイメージがあるかもしれません。
しかし、SWOT分析は個人の戦略を設定する時にも使うことができるのです。
今回は、SWOT分析の定義や方法と、コンサルタント個人として使用する際の例をご紹介します。
目次
SWOT分析とは?
・S(Strength)
・W(weakness)
・O(Opportunity)
・T(Threat)
の頭文字を取ってできた分析方法です。
1960年代にスタンフォード大学で研究をしていたアルバート・ハンフリーによって提唱されました。
スウォット分析と呼ばれ、内部環境である自社の強みと弱み、そして外部環境である機会と脅威を書き出していきます。
ちなみに、書き出した強み、弱み、機会、脅威をプラス面とマイナス面に分けてさらに細かく分析するのは、クロスSWOT分析と呼ばれます。
外部からのポジティブ・ネガティブな影響と自社が持っているリソースなどの強みや弱みを客観的に把握することで、目標が達成可能な戦略かどうかを考えることができます。
SWOT分析の方法
SWOT分析の表を埋めよう
SWOT分析を始める時には、取り掛かりやすい項目から始めることをおすすめします。
戦略決定やマーケティングプランニングなどは、外的要因が起因する何らかのマイナス要素があって練り始めることが多いので、機会や脅威の欄はすぐに思いつくのではないでしょうか?
機会・脅威の欄には、政治や法令、市場トレンドの推移、経済状況、株主の期待や科学技術の進歩、顧客・クライアントの期待、そして競合他社の戦略によって影響がでると予想される点を記入していきます。
また、自社の強み・弱みの欄には、情報や人材、材料、機材などの社内リソース、経営管理体制、ブランドや市場における知名度・評判、コストや価格、企業倫理、主要顧客との関係などの観点から見つけた情報を記入します。
まずはチームや個人で要因となるものをいくつも書き出してみて、項目内でグルーピングしていきましょう。
例えば、自社の強みとして「専門知識を持つ人材が多い」という意見や「会社の知識・ノウハウの豊富さに定評がある」などの意見が出たとしましょう。
この場合は、グルーピングで「専門知識(人材・会社内の情報・ノウハウ)」とまとめることができるでしょう。
重要なのは、どんな意見も除外しない事です。
付箋やホワイトボードなどにたくさんの意見を書きこみ、グルーピングを行うことでまとめてきましょう。
クロスSWOT分析
SWOT分析の表を埋め、自社の立ち位置や自社を取り巻く環境などの状況把握ができた後は、クロスSWOT分析を行います。
クロスSWOT分析では、機会・脅威・強み・弱みをそれぞれかけ合わせます。
すると、強み×機会、弱み×機会、強み×脅威、弱み×脅威の4つの項目ができます。
強み×機会では、自社の強みと外部の機会を上手く生かして、新規事業を立ち上げたり、既存の事業を発展させる戦略を検討します。
例として、夏にマスクの消費が増えているという機会と自社の涼しい布をつくれる技術を組み合わせて、外でつけても涼しい布マスクを作るなどが挙げられます。
弱み×機会では、自社の弱みを克服することで機会をものにして、事業のグロースを図る戦略を検討します。
例えば、国内での事業成長率は下がっているが、アジア地域の発展により便利さが求められるようになったため、アジア地域に便利グッズを売る店舗を設置すれば、売上が上がるのでは?などです。
強み×脅威では、自社の強みを生かして脅威から逃れたり、脅威を逆にチャンスにするための戦略を考えます。
例えば、大手企業の地域参入によって顧客が取られてしまう脅威があるが、手ごろな価格での伝統的なサービスを求める顧客に焦点を当てて戦略を立てるなどです。
最後に、弱み×脅威では最悪の事態から逃れるために、悪影響を予想します。そして、それを防ぐための戦略、もしくは撤退や事業立ち上げの廃止を検討します。
人材ビジネス市場が飽和状態にあるという脅威があり、人材ビジネスを即戦力として行える人材の確保が難しい場合、人材ビジネス事業立ち上げは断念したほうがいいでしょう。
コンサルタントがSWOT分析?!
SWOT分析の定義と方法をご紹介しました。
ここからは、個人でSWOT分析を行うメリットや具体例をご紹介します。
個人でSWOT分析をするメリット
会社に勤めていても、フリーランスとしてコンサルタントをしていても、自分のスキルやキャリアをクライアントに上手く売っていくことが必要になってくると思います。
自分はどのようなスキルや経験を持っていて、どのようにクライアントに貢献できるのかなどアピールする際に必要な情報を体系的にまとめるためにSWOT分析が役に立ちます。
また、弱みや脅威を知って、キャリア戦略を立てる時にも有効ですよ。
SWOT分析の表を埋めよう
個人でも先ほどご紹介した通りにSWOT分析をしていきます。
例えばペルソナとして、最近フリーランスとして独立した25歳男性の人材コンサルタントを設定したとします。
機会は、個人に訪れているチャンスと社会的な状況の2つを考えます。
例えば、
・最近大きな仕事を任されるようになった
・グローバル化により、英語や中国語を話せる人材の需要が増加している
などです。
脅威も同じく、個人で感じている脅威と社会の流れから起こりうる脅威の2つを考えましょう。
例えば、
・金融や医療などの専門知識を必要とするコンサルタントに比べて、安定感がない
・日本人向けの人材コンサル市場が飽和状態である
などです。
強みや弱みも考えます。
強みの例として、
・人材×ITの知識がある
・新卒1年目で中堅企業2社のコンサル担当経験がある
・人脈がある
などが挙げられます。
弱みの例としては、
・英語に自信がなく海外クライアントの対応が苦手
・競合インタビューで欲しい情報を引き出すことができない
などです。
まとめると以下の表になります。
クロスSWOT分析
その後、クロスSWOT分析を行います。
強み×機会としては、人材もITもどちらとも右肩上がりの成長業界であり、人材の知識・経験もITの知識・経験も持っているので、案件を請け負いやすいことが分かります。
今後は、その点をメインにアピールして案件を請け負いましょう。
弱み×機会としては、グローバル人財の需要が増加しているにも関わらず、英語に自信がないため、海外クライアントの対応が苦手である点が浮かび上がってきます。
英語ができた方が、案件数は増えることが予想されるので、英語を勉強するという戦略を立てることができます。
強み×脅威では、人材コンサル市場自体が飽和してはいるものの、多数の人脈があるので仕事を請け負いやすいかもしれません。
1つ1つの人脈を大切にして、信頼関係を築くことが重要になってくることが分かります。
最後に、弱み×脅威を見ていきましょう。
日本人向けの人材コンサル市場が飽和しているなら、英語に自信がないという弱みを回復できれば、外国人向けの市場に進出することができます。
このように、クロスSWOT分析を行うことでより具体的なキャリア戦略やアピールポイントが見えてきます。
まとめ
今回は簡単な具体例をご紹介しましたが、実際は複雑で個人によって現状も変わってくると思います。
ぜひ自分だけのSWOT分析を行い、強みをクライアントにアピールしていきましょう。
また、弱みや脅威を考え、今後のキャリア戦略に役立てましょう。